「セトモノ」と「セトモノ」

5~6年前だったと思いますが、車を走らせていた時に「ACジャパン」のCMが流れてきました。

内容は次の通りです。

セトモノ と
セトモノ と

ぶつかりっこすると
すぐこわれちゃう

どっちか
やわらかければ
だいじょうぶ

やわらかいこころを
もちましょう

そういうわたしは
いつもセトモノ

街の機嫌はこわれやすいものだから。
おおらかな気持ちでいることも、りっぱな公共心です。


これを聞いた瞬間、私は心を強く揺さぶられました。

「なに?」


「こ、これは」


「うちのお店にとって、」

今、必要な言葉ですやーん!!


調べてみたら、これは「相田みつをさんの詩」だという事が分かりました。

その後、私はすっかり相田みつをファンになりました。

私自身にもよくあてはまる内容だと思うのですが、職場内でも大なり小なりで、この手のぶつかり合いは発生しています。

例えば、

「セトモノ」と「セトモノ」の戦い

Aさん

これ、ここに置かないでよ!

Bさん

今これやってるんだから仕方ないでしょ!

Aさん

あっちに置けばいいじゃん!

Bさん

だったら、あなたのこれそっちに置きなさいよ!

こんな感じに、お互い傷つけあっています。

このやり取りからは何も生み出されませんし、気分も悪くなり仕事の生産性も落ちます。

このパターン、はっきり言って多いです。

それを、この「詩」のようにやわらかい心で接すると、

「セトモノ」と「やわらかいモノ」の戦い

Aさん

これ、ここに置かないでよ!

Bさん

あ、ごめんね、気づかなくて。
(どかして別の場所へ)

Aさん

・・・(アレ?)

Bさん

(ニコニコ♪)

Aさん

・・・

Aさん

あ、あの・・・。
私のもうすぐ終わるからさ、そしたらここに置きなよ。

Bさん

ありがとう。

Aさん

い、いえ・・・。

このようになり、まったく争いになりません。

そしてお互いに無傷です。

それだけではなく、Aさんも勝手に反省しています。

まさに完璧な展開と言っていいでしょう。

めでたしめでたし。




「・・・。」

「で、でもさぁ・・・。」




わかります。

そう簡単にはいかないのが人間というものです。

例えば、こんな感じになりますよね。

「セトモノ」へ逆戻りパターン

Bさん

あの~、そうは言いますけどね

私も何度か「やわらかい心」で受け止めましたよ!

でも向こうにその気がないのなら、どうにもならないって!

だからもうやめました、やわらかくなるの。

フン!

で、結局「セトモノ」に戻って、
「ガチャン、ガッチャン、パリーン!」ってやりだす。


これ、自分自身でもやりがちですし、職場内でもたまに聞くセリフです。

基本的に元々の気質が「セトモノ」の人は、そう簡単には変われないのかもせれません。

しかし、何もせずに、このままぶつかり合いを続けてしまっていては「あなた学習能力ゼロですね」って思われてしまいます。

それはイヤですよね。


ではどうすればいいのでしょうか。


ありきたりですが、やはり、完璧にはできなくても少しずつでいいから、やわらかくなる努力を続けることが大事なのだと思います。

ちょっと言い方はきつかったかもしれないけど、正面衝突は避けたよ」とか、

表情は硬かったけど、譲ってあげられたし」とか。

ほんの少しでも良いので、上手に出来た自分を褒めながら「相手がセトモノでも平気な自分」になる努力を続けていく。

因みに「自分が変われば相手も変わるよ」なんてことが言われますが、

それを期待して、「私が変わったんだから、あなたも変わりなさいよ!」といったスタンスになってしまうと、どうしても相手をコントロールしようとしてしまいます。

そうなると、「私がこんなにやっているのに!」といった新たなストレスを生んでしまいます。

だから、あくまでも「相手が変わらなくても平気な自分」を目指すことが大事です。


そのために、こんな想像をしてみてはいかがでしょうか。


例えば、「1級建築士」のように、「1級やわらか士」というのがあったとして、

「1級やわらか士」だったらこの状況で、どの様な、「考え方」「セリフ」「表情」「行動」を取るのだろうか?

そんな事を想像しながら、自分の振る舞いに取り組んでいく。

何故なら「1級やわらか士」ともなれば、相手が変わらなくても、まったく平気だからです。それもそのはずです。「1級やわらか士 試験」の合格率は毎年4%程度と、かなり難しい国家資格ですので、取得するまでにはそれ相応の「経験」と「知識」を要するからです。(念のため、ウソですからね)

だからその「1級やわらか士」の技を見習うのです!



上手くできたり、できなかったりしながら、それを継続していき、

その中で、少しづつ「相手が変わらなくても平気な自分」に近づいていく。

そして、1年たってみて、振り返ってみたら、「まだまだ だけど、少しはマシになってきたかな?」って具合にです。

私たちは凡人ですから、そんな程度のもので良いのではないでしょうか。

そのように考えると、「やわらかい心を持ちましょう」って、簡単にはいかないものですよね。

でも、「相手を変える」よりも、「自分の振る舞いを変えていく」方が、どうやら近道らしいので、


下手でもいいから、


やわらかい心


持てるように努力を続けていきたいと思います。

それではまた!