離ればなれになった夫婦の話

お弁当を
お届けしているお客様で

2人ともなかなかの
認知症のご夫婦がいました。

奥様は元気で活発な感じで、
ご主人は少しヌボーっとした感じ

認知症のため
部屋はメチャクチャ
なのですが

夫婦、仲良さそうで、

何か、見ていると
ほっこりするような

そんなご夫婦です。

でも、

ある日、

ご主人が亡くなられました。


ちょうどお弁当を配達しに
家の中にお邪魔したら、

奥様が

うちの人、なんか今日
起きないのよ~

なんて言うので

様子を見てみたら、
眠ったまま逝かれている
様子でした。

すぐに救急要請をして
来てもらったのですが、

やはり残念ながら
その場で死亡が確認された。

最初は状況が
よくわからなかったのか、

いつも通り
明るい奥様でしたが、

しばらくすると
事態がわかったようで、

かなりショックを
受けていました。

当然と言えば当然ですが、

それからは、
明るかった奥さんが

みるみる内に
元気を無くしていった。

毎日、

お弁当を
お届けに部屋に行くと
うずくまっていて

声をかけると、

悲しそうな顔で

あの、実は
主人が亡くなって・・・
」と

毎回、伝えてくる・・・。

いつも笑顔だった奥さんが
悲しそうな顔でそれを
伝えてくる姿は、

胸が痛む思いでした。
(>_<)

でも、

2週間くらいしたら
少しずつ元気を取り戻してきた。


時薬」という言葉が
ありますが

どんなに大変な困難を
抱えても、

時間が薬となって
苦しみを癒してくれる、

そんな意味の言葉です。

だから、

時薬が効いてくれたのかな?
って思っていました。

でも、

奥様に聞いてみたら、

部屋で頭を伏せて
泣いていたら

亡くなられたはずのご主人が

スッと部屋に来て

「しっかりしろ!」

って言ったらしい。

それで、

そうだ、
私がこんなんじゃ、

主人が安心して天国に
行けないから

元気にしていないと!
って、

そう思ったの。

と笑顔で話してくれました。

認知症の方なので、
妄想かもわかりませんが

今でも、ご夫婦でお互いに
支え合っているんだなって
感じがして

目頭が熱くなりました。
(´;ω;`)

きっと時薬よりも、

ご主人の励ましが
一番効いたんだろうと
思います。


それ以来、

奥さんは、
ご主人が安心して
旅立てるようにって、

いつも元気に
お弁当を受け取って
くれています。

ステキな夫婦の
愛のカタチを見せてくれて
ありがとうございます。
(。-人-。)

私たちも微力ですが

これからもしばらくは、

お食事と笑顔を
お届けしていこうと
思います。


それでは、さよ~なら!